ヨガとの出会いが、心を強くした。何物にも縛られず美しく輝く(AVI / モデル・ファッションイラストレーター)

ヨガとの出会いが、心を強くした。何物にも縛られず美しく輝く(AVI / モデル・ファッションイラストレーター)

モデル、イラストレーター、ヨガ講師としてマルチに活躍するAVIさんは、現在ベルギーを拠点に活動しています。ここ数年で暮らした国は、ヨーロッパを中心に6カ国。住む場所にも、国にも縛られず、自分らしく生きることは簡単なことではありません。

特に、文化と言語も全く異なる国での生活には大きな環境変化とストレスが伴います。しなやかに変化に適応し、美しく輝く秘訣について伺いました。

プロフィール

AVI(アヴィ)
モデル、イラストレーター、ヨガ講師。これまでに住んだ国はヨーロッパを中心に6カ国。日本と海外を行き来しながら、旅するように暮らす。

モデルとしては、日本国内・海外問わず多数の雑誌・広告・ファッションショーに出演。ロンドンの大学でイラストを学んだのち、2017年よりファッションイラストレーター"Abbie Chung"としても活動を開始。全米ヨガアライアンス認定資格RYT500を持ち、日本で数々のレッスンを開催。​現在ベルギーに拠点を置き一児の母として子育てにも奮闘中。


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モデル、ヨガ講師、イラストレーター…住む国に縛られずマルチに活躍

ーーAVIさんはモデル、ヨガ講師、イラストレーターとマルチに活躍されています。それぞれのお仕事について教えていただいてもいいですか?

日本のクライアントを中心に雑誌や広告のモデル、ショーへの出演をしています。大学の時に就職活動の一環でモデル事務所に履歴書を送り、15年ほど活動してきました。

モデルは10代から始める人が多く、私はスタートが遅かったんです。「モデルの他にもキャリアが必要なのでは?」と考えるようになり、最初はネイリストの資格を取得しました。

ヨガに出会ったのは、仕事でシンガポールに滞在した時。体型維持にヨガが良さそうなこと、マット1枚分のスペースさえあればできる手軽さに惹かれて始めました。

でも、やり始めたらどんどんハマってしまって。全米ヨガアライアンス認定資格RYT200、RYT500を取得し、ありがたいことに色々なところからお声がけいただき、ヨガ講師をする機会も増えていきました。

ーーイラストレーターの仕事はどういうきっかけで始めたのですか?

父が美術教師だったこともあり、アートには元々興味がありました。でも、私はどちらかというとシャイな性格で、自分から積極的に動くタイプではないんです。

35歳の時、結婚を機にスペインのバルセロナに移住し、そのとき「せっかくだからロンドンのイラストの学校に通ったら?」と夫に背中を押してもらったんです。「色んなことに挑戦してほしい」と、彼はいつも応援してくれます。

最初は1人で2ヶ月ほどロンドンに住んでいたのですが、その後は週1回のクラスだったのでバルセロナから通いました(笑)

ーースペインからイギリスに通学ですか!

スペインとイギリスは意外と近くて、飛行機で2時間ほどなんです。前泊してその日のうちに帰っても、1週間の滞在よりは安く済むんですよ。

学校に通い始めたら知り合いも増え、自分の世界がわっと開かれるような感覚がありました。ロンドンの学校には世界中から生徒が集まってきて、靴職人や服のデザイナー志望の子、自分でブランドを持っている人もいました。「あぁ、こんな世界もあるんだ」と大きな刺激を受けました。

ーー授業はどうでしたか?

「みんなと同じように」とか「この画材を使わなくてはダメ」など制限がなく、自由でした。

私はiPadを持ち込んだのですが、「iPadを使いたいならデジタルで描いたらいいよ」と、先生がおすすめのアプリを教えてくれたり。

私は生まれも育ちも日本なので、その自由さは新鮮でした。「みんなと一緒にしなくちゃいけない」、そんな感覚から解放されたような気持ちにすらなりました。

ーー モデルの経験を生かしたイラスト、とても個性的で素敵です。

私のベースには、やはり「ファッションが好き」という気持ちがあります。描いている分野もファッションイラストです。ヨガのイラストを描かせていただいたこともあるのですが、ファッションの要素も踏まえた上でヨガを表現しました。

どんなイラストを描くときも、なるべく自分らしさを出したいんです。将来的には、絵を見たら私が描いたと分かるくらいにしたいのですが、まだ模索中ですね。

また、私は旅が大好きなので、旅先で得たインスピレーションを、繊細なタッチでカラフルに表現していきたいと考えています。

試練を乗り越えるマインドを鍛えるために、ヨガに出会った

ーー海外移住や留学、駐在…環境の変化がきっかけで鬱になってしまう人もいるようです。AVIさんは、どのように環境の変化を克服しましたか?

バルセロナに住み始めた頃はすごく孤独を感じていました。知り合いも友達もいないし、スペイン語もわからない。英語もあまり通じない…。

どうしたらいいかわからない時に、「あ、私、いま気持ちが塞いでいる。プチ鬱みたいになっている」と、ヨガのおかげで気づけたんです。一歩引いて自分の状況を分析できたのはヨガのおかげでした。

ーー自分の心の変化に気づけるだけでもだいぶ違いそうですね。

ヨガは体を動かすだけではなく、精神面の修行もとても重視しているんです。海外で孤独を感じた時、ヨガの修行とのリンクを感じることもありました。

実は海外に住む前に、ある占い師さんに「海外に住むこと、私に向いていると思う?」って聞いたことがあったんです。そしたらこんなふうに言われました。

「海外には全然向いていない。あなたは、本当は自分が持つ小さいテリトリーのなかに居たいはず。そんなあなたが海外に住む。その試練を乗り越えるマインドを鍛えるために、先にヨガに出会ったんだよ」

その言葉が、ふっと腑に落ちました。私がこうやって海外で暮らしているのは、きっとヨガに出会ったおかげです。

ーーヨガの教えで特に気に入っていることは?

外的なことに左右されずに、心を平穏に保つこと。それまでは、人の目を気にして萎縮したり、社会が求めるイメージに合わせて「もっとこうしなきゃ」とか「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い詰めてしまうことが多かったんです。モデルの世界で言うと「もっと痩せなきゃ」とか。

でも、人と比べる必要なんてなかった。何事も楽しく前向きに捉えればいいと、ヨガのおかげで気づけたんです。

その気持ちは、海外に出てからさらに加速したかもしれません。こっちでは、自分の体型を気にせず、着たい服を着て胸を張って歩いている人が多いです。「自分が気にしていたことは、小さいことだったんだ」と考えるようになりました。

狭い世界にいると見える景色も小さくなります。「あの人に、こう言われたから…」と悩んでいる人がいたとしたら「他の人と話してみたら、きっと悩みなんて吹っ飛ぶよ!」と伝えたいですね。1つ違う扉を開けて世界を広げるだけで、考えがきっと変わるはずなんです。

呼吸に意識を向けながら行うヨガの動きは、その過程で雑念が取れていきます。悩みやモヤモヤを抱えていたとしても、1時間のレッスンが終わった後はスッキリした感覚になります。

東京にいると慌ただしくて、自分もそのペースで走らされるみたいな感覚がありました。でも、ヨガでスローダウンすると、「私のペースでいいんだ」と平穏を取り戻せるんです。

ーー素敵ですね。ヨガを始める場合、どこからスタートすればいいでしょうか?

まずは通いやすいヨガスタジオを探してみてはどうでしょう。体験レッスンを提供しているところも多いので、いくつか受けてみてもいいかもしれません。

最近はYouTubeでもいろいろなヨガの動画が出ているので、動画を見ながら今まで伸ばしたことのない部分を伸ばしてみたり、自分に合ったテンポで始めてみるのもおすすめです。

小さいスペースさえあれば、一人で出来る手軽さもヨガの良さですね。

小さな目標を持つことで、大きな環境変化を克服

ーーヨガの他に、海外生活の支えになったことはありますか?

小さなことでも良いので、目標を持つことです。

私は自分の意思で結婚・移住をしましたが、海外でやりたいことがあった訳ではありません。一時期、目標を見つけるのが難しくて少ししんどさを感じていました。さらに、ロンドンでイラストを学んだ後にメキシコに移ったのですが、日本人が少ないエリアだったのでめちゃくちゃ孤独で…。

「このままじゃだめだ」と、LINEスタンプを作り始めたんです。「来週までにここまで仕上げよう」と、少しずつ自分の中で目標を設定して作り始めました。

些細なことでも目標にするだけで、寂しさや孤独から少し解放されます。私だけではなく、海外に住んでいる人…もしかしたら日本に住んでいても「寂しい」とか「生きづらい」と感じている人がいるかもしれません。

そういう時は、小さくても良いので何か目標を持ってみてください。「1日1ワード、スペイン語を覚えよう」でも良いです。

あとは、共通項を持っている人と友達になること。私の場合は子供がいるので、話しかけてもらうことが増えました。いま住んでいるベルギーは、道で子供が泣き叫んでいても「どうしたの?」と優しく話しかけてもらえるので、暮らしやすいですね。

ーーいまも何か目標を持たれていますか?

まだおうち時間が長いので、在宅でも楽しめる塗り絵を作りたいと考えています。

「パリに行くならこんなファッション」と、旅先に行くときのワードローブや手荷物を提案・紹介しつつ、実際に旅した場所を塗り絵の冊子にしたいんです。

イラストを生かして社会に何か貢献できるグッズを作れたらいいなとか、色々頭の中で考えています(笑)

あとは、私も夫もやっぱり旅が好きなので、子供も一緒に家族で旅をしたいです。旅先でインスピレーションを受けた時は、目を閉じると色使いや柄が頭のなかに浮かんでくるんです。それをそのまま描くのが難しいから、頭の中をスクリーンショットできたらいいんですけど(笑)

旅をすると、感覚が新しくなる気がします。色々なものを見て感じたことを、これからも私らしく表現していきたいですね。

ーーお話を伺っていて、どこにいても自分らしく輝くためには、自分の芯をしっかり持つこと、そして新しい世界からの刺激を歓迎することが大切なのだと感じました。本日はどうもありがとうございました。

写真 = AVI
構成・文 = 佐藤まり子

AVIさんが着用しているのはウールスローケット(FLORENCE / フローレンス・ベージュ)Venis(ヴェニス)とFlorence(フローレンス)は、イタリアの美しい街並みをイメージしています。色々な柄がありますので、ぜひチェックしてみてください!

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